OPC UAとは

「OPC UAとは?」を簡単に説明することは非常に難しいです。従来は、「Industry 4.0のCommunication Layerで使用することがすすめられているセキュアな産業プロトコル」という単純な解釈でした。実際、OPC UAがIndustry 4.0の産業プロトコルに採用したことで、OPC UAは爆発的に普及しました。しかし、現在は、Fieldからクラウドまでもっと深く、もっと広い範囲で使用され始めています。(図はOPC Foundationの複数のプレゼンテーションより抜粋)

そもそも、Industry 4.0ですが、インターネットでは、「ドイツにおいて政府や産業界が主導して推進する製造業の国家戦略プロジェクトです。」なんて書かれていますが、本当はもっと生々しいドイツの対米戦略プロジェクトです。先進国中、1980年代から米国のGDPだけが急激に増えています。この巨大なGDPの差を生んだのが、カリフォルニアのIT企業の収益だと言われています。これに対抗するために生まれたのがドイツが国策として投資したIndutry4.0と言われています。

現在、OPC UAは、もっと深く、広く、自由に使用され始めています。しかし、設計時から変わらずOPC UAには2つの大きな特徴があります。ひとつは高度なセキュリティを有していること、もうひとつは情報モデルが構築できることです。

まず、OPC UAのセキュリティについてです。話は非常に壮大です。OPC UAの仕様書のPart 2がすべてセキュリティの話です。正直、読むのも大変ですが、かいつまむと簡単な話になります。

1.Security Policy:暗号化のProfileの指定
2.Security Mode:メッセージの暗号化の方法
3.ユーザ認証:ユーザ名とパスワード、もしくは、証明書を用いてServerにアクセスできるようにすること
4.アプリケーション認証:証明書を使用し、自己を証明し、他者を認証すること

以上の4つを決めることで、OPC UAのセキュリティを実装します。

二番目の特徴は情報モデルを構築できることです。情報モデルとは「情報をつたえる枠組み」のことです。枠組みですから詳細な設計はされていません。ここはOPC協議会が決めたことだから他の人は変更しちゃダメという範囲を明確にして、それを準拠してくれたらその他は自由に設計して良いですよ、というより、どんどん仕様を拡張してくださいというのがOPC UAの基本的なスタンスです。

OPC協議会は、他のいろいろな標準化団体と協力して業界ごとに標準規格を作成しています。これをCompanion Information Modelと言います。Companion Information Modelが発表されると、その規格がほぼ業界標準となり、日本の産業分野にも大きな影響を与えます。2019年のEMO(ドイツの工作機の展示会)では、約180社がCompanion Information Modelを実装した工作機を、ドイツ工作機工業会が作成したインターネットハブに接続し、見える化を実現しました。多くの日本企業もこれに参加しました。現在もこの事業は推進され、umatiShowcaseという名称でインターネット上に公開されています。

情報モデルはOPC UAの根幹です。将来、人間の介在なしにFA機器同士が自由に対話し生産できるようなスマートファクトリーの実現を目指しています。情報モデルを採用することでフィールドレベルでデータが標準化され、クラウドでデータを使用することが容易になります。ドイツの工場はクラウドを使用するためにできるだけ低いレイヤーでデータを標準化することを目指しています。